2014-07-31

2014年7月31日

眩しいほどの日差しはなくても、アスファルトを見ると思わずまばたきをしてしまいます。目の奥に感じる微かな痛みに、あの日の太陽を思い出します。

二年前の金環日食。
珍しく太陽の中に月がすっぽりはまり込んで暗くなるということで、世の中はなかなかの大騒ぎでした。
太陽を直に見ると大変危険なのでやらないようにとのアナウンスが盛んに流れていました。

やらないように、やらないように、って言われると、どうしてやっちゃいけないんだろう?という気持ちがムクムク湧いてきてしまう悪い癖を持っている私です。
いつも、「うわ、臭いっ」とか聞くと、どれどれ、どれだけ臭いのか、って気になって、近づいて、「グゥェー。本当に臭い」とやっています。そこでやめればいいのですが、「いやあ、臭かったなあ。あれ、どれだけ臭かったんだっけ?」クンクン、「ぎゃあ、臭いわー」と繰り返してしまうのです。

そんな私に、世の中のメディアが寄ってたかって、「直接見るな見るな」と言うんですもん。
見たくてたまらなくなってしまいました。
めったに拝めないような金環日食、もう一生肉眼で確かめられないかもしれない…。

「今東京で金環日食が始まりました」の声を合図にベランダへ。

うわあ、眩しい!!
思わず目を背けました。もっと指輪のように明るくなるのかと思いきや、眩し過ぎて、肉眼だと真ん丸にしか見えません。
とても直視出来るような明るさではありません。

太陽というのはこんなに明るいものなのだ…
月にほとんど隠されても、隠すものをも輝かせるほどのエネルギー。

そういう太陽に私達は生かされているんだということが、急に大きな意味を持って迫ってきて、妙に感激してしまい、その姿を確かめたくて、目を伏せては目で見てを何回も繰り返し、その感激を身体の奥にまで染み込ませていました。

……案の定その後、激しく目が痛くなりました。そのうえ凄まじい頭痛に襲われ、三日間ほど寝込んでしまいました。

隠すものをも輝かせる明るさ。
自らを隠そうとするものをも輝かせるエネルギー。

痛みにうなされながら、そんな言葉が頭の中でこだましていました。