2016-02-09

2016年2月9日

伊福部昭十年祭記念会「伊福部昭綴るII」(小林淳著)出版記念会にて奉納演奏させて頂きました。
全国各地から伊福部先生に思いを強く持ってらっしゃる方々が集まり、皆で色んなものに耳を傾け、感じ合う時間となりました。

伊福部先生と皆さまの歴史は長く、30年、40年、お互いに交流を深めていらしたそうです。それぞれ、もう阿吽の呼吸でやり取りしています。
きっかけはクラシック、怪獣映画のだいたい2つに分かれるようですが、皆さま伊福部音楽に魅了され、それが人生の一部になっている方々ばかりです。

私は、20年前に初めて伊福部先生作曲の箏曲を聴き、深く潜っていきながら高揚していくような不思議な感覚に覆われ、感動と興奮で、コンサートが終わったら目の血管が切れていたことが始まりです。その後25絃箏に転向し、10年前からほぼ毎年リサイタルで伊福部作品を弾かせて頂くようになりました。
最初に演奏させて頂いたのが、伊福部先生が亡くなった年で、それこそ雲の上の方であり、私は楽譜を通じてひっそりと先生と交流してきました。

音楽というものは何か、民族とは、歴史とは、哲学とは……
これらのことを少しずつそのひそやかな交流から学んできました。
そして、もっとシンプルなところで、伊福部音楽に揺り動かされる肉体と心。
私にとっての恩師とも言えるような気がします。

新参者の私ですが、このたびの記念会でもとても温かく迎えて頂きました。
伊福部先生にご恩返しをする機会として、肩に力が入ってしまう私を、ご子息の伊福部極さま初め、企画された伊福部昭百年紀の方々が優しく励ましてくださいました。
全国からいらした伊福部ファンの皆さまも熱く柔らかく、その方々とお話出来たのも忘れ得ぬこととなりました。
緊張していたのに、大口開けて笑っている写真ばかり残っているのは、演奏云々を越えた嬉しさによるものですね。

今回のことで、また色々と考えることがありました。
それはまたおいおい書かせて頂きたいと思います。