2014-01-29

2014年1月29日

今更ですが、人が話しているのを聞くのが楽しくてたまりません。
話の内容もそうなんですが、声による微妙な音程の変化や音色の使い分け、そのリズムの変幻自在さを思うと、人ってすごいことをやっているゾ!と、感激してしまいます。

さっき乗ったバスでは、降りる時に運転手さんが「あ〜りがとうございました。」と、「あ」をしわがれさせて少し倍音をきかせて一番高い音程で伸ばしてから声を下げてちっちゃくしていました。「あ〜」で、つい気持ちを持っていかれて、笑い出したくなり、後は余韻のように響いて気持ち良さが残りました。
その後最寄り駅に行ったら、ホームのあたりから、小鳥がピーチクパーチクしているような音がしたので行ってみたら、ホームには見慣れぬ渋い紺色の寝台列車が止まっていて、小学生がその周りを囲んでいたのでした。皆大喜びしている中で、一人の小学生が、「まるでホテルニューオータニだっ!」と叫び、大人達が大笑い。「ニュー」のところで声を震わせて、「オー」で声がひっくり返ってしまって、こちらまで感極まってしまいました。

だから電車のアナウンスとか隣の人のおしゃべりも楽しいのです。
今まで毎日毎日聞いていたのに、聞こえていなかったんだなあ、と思います。
今更こんなことを言っているのだから、聞こえていないことだらけ、見えていないことだらけなんだろうと絶望する思いもありながら、これから姿を現してくれるモノとの出会いを思い、胸を高鳴らせてしまうのです。

2014-01-22

2014年1月22日

先週ホームページにコンサート映像をアップしましたが、これを撮って編集してくれたのが、阿部ちゃんこと阿部耕介さんです。

そもそもはフリークライミングでの友人です。
指を痛めると演奏に支障が出るので、最近はクライミングをほとんどしなくなりましたが、ではクライミングから遠ざかったのかと言うと、そういう気はしません。クライマーはなんというか心の友です。
クライミングって、誰からも頼まれもしないのに、わざわざ崖を登り、自分の限界と向き合います。限界のときに透明な精神状態であれば一番良いのでしょうが、それこそ多くの葛藤と感情が入り乱れる中で出る一手は、隠しようのない裸の自分です。
どんなレベルであれ、そういう時にどうするかということの持つ意味合いは誰にとっても同じで、男も女も大人も子供もプロも初心者も関係ありません。なんというか単なる何者かです。
そういうスタンスで人や物事に向き合うクライマーは、私には妙にしっくりきます。

阿部ちゃんも、そうやって物事と相対しているような気がします。
そして、見かけによらず(ゴメンナサイ)細やかな気づきが人よりかなり多い生活を送っているんじゃないかなと思います。それでいて、直感の持つ大胆な力もよく分かっていて…。
パンフレットもチラシもお世話になっているのですが、提案してくれるものには、パッと見て、あ、いいな、という印象をまず持ちます。
自分も曲を作ったりしますが、物づくりにおいて、実はこれが一番難しいんじゃないかとつくづく思います。

ところで、阿部ちゃんのパートナー(阿部ちゃんに言わせると妻ちゃん)は優さんと言って、書家です。
私の『生ひ立ちの歌』の映像で流れているのは優さんの書です。すっごくすっごく繊細な方ですが、その中にあるググッとした力強さは作品にもよく表れていて、生命力が細く強い青白い光で浮き出てきているのを感じます。
強さってなんなんだろうなあ。

この二人がもう仲良しで、都会から離れて住んでいるのですが、どっかおとぎの国の秘密基地みたいなところに身を潜めているんじゃないかしらと睨んでいます。

こういう人に、おんぶにだっこの私です。
重くてごめんなさい〜

2014-01-15

2014年1月15日

先日のリサイタル映像をホームページにアップしました。一部抜粋のものもありますが、最後のアンコール曲も含めて、一応全部の曲をアップしています。

私の演奏はさて置くしかありませんが、竹と陶器を背景にした、このなんとも美しい映像は阿部耕介さんに撮って頂きました。せっかくなので、阿部ちゃんのことは次回改めて書かせて頂いちゃいます。

リサイタルが終わり、少し離れて自分を見ると、あまりに真面目なその顔にちょっと笑っちゃいます。
そもそも全部が顔にあらわれるタイプですが、少しでもイメージに近づけようと、よっぽど必死だったのだわ。出てしまった音を顔でどうにかしようとするあがきもあります。
箏を始めた頃、先生に、「顔っ!」とよく注意されましたが、何十年経っても直らないようです。
いつかは顔で直そうとしないぐらい弾けるようになるのかしら?

ナマゆえのことも多々ありますが、今の私の等身大のものとして、支えてくれる方々に感謝を込めて、ご報告させて頂きました。
これからも目を背けることなく、お得意の牛歩で進んで参ります。
皆さま、ありがとうございました。

2014-01-08

2014年1月8日

年末、ガラバゴス仲間を裏切り、スマホにしました。
年始やっと大掃除を始めた私ですが、さて、スマホが入っていた箱を破いて捨てようと箱に手をかけても、ウンともスンとも言いません。グイグイ力を入れてもシーンとしてるだけ。

変に運命論者である私は、これは捨ててはならないという、何かのおぼしめしだと決めつけ、三味線の糸入れを作ることにしました。十年ぐらい前に買った和紙を取り出し、切って、糊でペタペタ貼って…。せっかく切ったパーツをくしゃくしゃ丸めて捨ててしまい、困った困ったと、とりあえず糊をダーっと塗ってみたら、あらあら、和紙って伸びるのね。あれ、なんかこの匂いとこの感じが懐かしいな、と思っていたら、思い出しました。

障子の張り替えです。
毎年年末は家族で、障子を外して、障子を破いて、新しい和紙をペタペタしていました。新しい障子をはめた時、その匂いが嬉しくて深呼吸をしていました。なんで今まで忘れていたんだろう?

年始になってから大掃除している私への戒めのメッセージなのかな、と、出来上がったいびつな箱を眺めている私です。



2014-01-03

2014年1月3日

あけましておめでとうございます。

我が家のお雑煮です。
焼いたあんころ餅と直径二センチほどの大根の輪切を入れた、まるまるづくしの白味噌仕立てのお雑煮です。
初めて見た時は度肝を抜かれましたが、今ではヤミツキです。
神戸から材料を全て送ってもらっちゃっているのですが、作り立てのあんこを、つきたてのお餅で丸めている皆の様子が目に浮かんで、ぽっかぽかの気分になります。

このスピード時代にあって、手間と時間をかけることをモットーとしている私ですが、お察しの通り、昨年はやりたいことどころか、やるべきことにも手が回りませんでした。さすがに反省し、今年はほどほどに手早くしなきゃと思っていたのですが、このお雑煮を食べて、やっぱり手間と時間をかける一年にしようと、今年が始まって数時間で方向転換をしたのでした。