2014-04-30

2014年4月30日

「あ、バカになっちゃったんだね。なかなか治らないんだよねー」
と言って、人を怒らせたことがあります。

相手が怒ってしまったことにビックリして、「だって、ほらほら」と、そこを指差すと、ますます怒ってしまいました。
私は心配して言っているのに相手が本気で怒るということに心底驚き、しどろもどろでやり取りしているうちに、やっと、『バカ』という言葉が不適切であったことに気がついたのでした。
東京に出てきて間もなくの頃です。

宮城では目に出来るものもらいのことを『バカ』と言います。
私は目のものもらいを心配して声をかけていたのですが、客観的に見たら、相手の顔を指差しながら罵倒していたわけです。
そのとき、訛り以外の地域性で意識しておいた方がいいことがあると知りました。

私が生まれ育った地域では、セイタカウコギのことも『バカ』と言います。
その黄色い花が秋になるとチクチクしたものになり、服にくっつきまくります。それをぶつけ合って、くっついたのを必死ではがしながら、まだくっついている人を指差して「バーカバーカ」と言い合うのです。
これは色んな地域にあるようですが、私の地域ではかなり激しく行われていたように思います。

そんなこともあってか、私は「バカ」と言われてもほとんどこたえません。「そうなのよー」ぐらいなもんです。
よく言われることですが、関西人は「アホ」には寛容ですが、「バカ」には神経過敏です。

私が怒らせたその人は関西人でした。
「バカじゃなかったら何て言うの?」の私の問いかけに、「関西ならメバチコだけど、普通はものもらいだろ」と言いました。
…ものもらい!
蝦夷に生まれて差別に敏感な私にはそちらの方が納得いかなくて、なんでやねん、と思ったのでした。