今更ですが、人が話しているのを聞くのが楽しくてたまりません。
話の内容もそうなんですが、声による微妙な音程の変化や音色の使い分け、そのリズムの変幻自在さを思うと、人ってすごいことをやっているゾ!と、感激してしまいます。
さっき乗ったバスでは、降りる時に運転手さんが「あ〜りがとうございました。」と、「あ」をしわがれさせて少し倍音をきかせて一番高い音程で伸ばしてから声を下げてちっちゃくしていました。「あ〜」で、つい気持ちを持っていかれて、笑い出したくなり、後は余韻のように響いて気持ち良さが残りました。
その後最寄り駅に行ったら、ホームのあたりから、小鳥がピーチクパーチクしているような音がしたので行ってみたら、ホームには見慣れぬ渋い紺色の寝台列車が止まっていて、小学生がその周りを囲んでいたのでした。皆大喜びしている中で、一人の小学生が、「まるでホテルニューオータニだっ!」と叫び、大人達が大笑い。「ニュー」のところで声を震わせて、「オー」で声がひっくり返ってしまって、こちらまで感極まってしまいました。
だから電車のアナウンスとか隣の人のおしゃべりも楽しいのです。
今まで毎日毎日聞いていたのに、聞こえていなかったんだなあ、と思います。
今更こんなことを言っているのだから、聞こえていないことだらけ、見えていないことだらけなんだろうと絶望する思いもありながら、これから姿を現してくれるモノとの出会いを思い、胸を高鳴らせてしまうのです。