姉夫婦が主催しているフォレストヒーリングに行ってきました。
八王子の長沼公園は、新宿から30分ほどの駅近の公園ですが、一歩踏み入れればそこは森。山の中の奥深い森のようなものが突然ぽんと現れます。
一言で言えば森林浴なのですが、これがなかなか愛のこもった企画で、皆さん本業は別にありながら、長沼公園のガイドの松村さん、姉含めた森林医学認定医、義兄が理事をしている木暮人倶楽部の面々がサポートしてくださり、フォレストヒーリングは進んでいきます。
私は無理をすることが何より大好物なのですが、これに限っては、無理をすると身体への健康効果が半減するらしく、森の体内時計に合わせた時間の流れに身を任せて時を過ごします。
普段とは違うものに身体は一瞬戸惑うようですが、草に寝転んで目を閉じると、「あら、そのモードね」と身体が笑って応えます。
ゆったりすると言えばそうでもあるのですが、ささやくような葉の擦れる音や、小さな実の膨らみ方の違いまでが気になってくるので、ある意味、とても忙しくしているのだとも言えるのかもしれません。
周りを見回すと、寒さから葉が半分落ちていて、幹がその姿を露わにしています。様々にうねりつつ、思い思いの姿で立っています。
しばらく歩くとヨガの時間。先生のキューちゃんの呼吸や体勢の指示に従って、「山のポーズ」を取ります。
動きとしては、目を閉じて立つ、という非常にシンプルなものですが、細かく細かく震えながら立っている自分の動きが気になります。
おそらく、心を鎮めて天と地を感じつつどっしりと立つのがこのポーズの目的なのですが、その前提として、こんなにも細かく細かくバランスをとらなければならないなんて……。
我ながら足にうまい具合に力をいれているものです。
今まで何十年も当たり前にやっていることですが、身体は黙々と細かく細かくバランスを取っていてくれたのでした。
目を開けると、木々のうねった幹がまた目に入ってきました。
そうだったんですね。
木も、こうやって立っていたのでした。
風をよけ、日ざしを浴び、養分に近づくために、細かく細かくバランスを取りながら立ち続けていて、その目に見えない動きの歴史を、うねる幹という形で目の前に現してくれていたのでした。
どっしりとしたものを支える細かい細かいバランス。
動かないものを支える動き。
それは身体の実感として私に沁みこみました。
そして、その動きを目に焼きつけました。
帰ってきて二十五絃箏を弾いたら、やっと、立ち方ならぬ、座り方が分かったのでありました。