この時期がやってくると、あー、そうだったそうだった、なんで忘れちゃうのかな、と深く深く反省します。
喉元過ぎれば…とは、よく言ったものです。私の場合は胃が弱いので、実は喉元過ぎても胃のあたりがアツいのですが、それでもやっぱりそこらへんを過ぎれば忘れちゃいます。
毎年、あー、私はこうやって死んで行くんだなとシミジミ思います。
忘れては思い出し、また忘れ…
と分かったようなことを言ってみたところで、本当は死ぬ時のことなんか分かりっこないことぐらい分かっています。
想像力に限界があるからこそ、喉元過ぎれば…になるのですもんね。
私のお気に入りに、一休禅師の辞世の句の一つと言われる句があります。
昨日まで
人のことよと 思いしに
今日は我が身か
こいつ たまらぬ
友人のお坊さんのの留守中に、そこにあった阿弥陀如来像を枕がわりに昼寝をするなど、アニメのイメージとは違い、豪放で有名だった一休さんのこの言葉には、マイッタマイッタ感が滲み出ていて、思わず手を差しのべたいような気持ちになります。
でも、瞬間に、そう感じる自分こそが、やはりひとごとで感じている証拠であるのだと悟らされます。
この句は、そういう人間の想像力の限界を突きつけるものであるように感じるのです。
そして、八十八歳の一休さんが最期に口にしたと言われるコトバも、ちょっと気に入っています。
人間として生きるのはそんなに悪くないのかもしれないな、という希望を抱いちゃうのです。
「死にとうない」
こんなコトバで息絶えるくらい、私も人生を面白がれるかしら。