2018-10-30

竹取りにて

今年もリサイタルの舞台背景に使う竹を取りに、八王子の長沼公園に行ってきました。

舞台を彩って頂く陶芸家の川合牧人さんと華道家の手島久子さんとご一緒に、サミーさんこと松村正道さんのご案内で、長沼公園の神社横の竹やぶで竹を取り、境内で作業するというなんともありがたいシチュエーションの中での竹取りでした。

今年の竹は、夏の猛暑を身体いっぱいに含んでいて、大きくてかたい!
バリバリと音を立てて倒れる竹が色んな木々に巻きつくのを、「オー」とか「ワー」とか言っているだけで、今年もなんの役にも立てませんでした。

でも、必死で力をこめて、竹を運んだり、枝を落としたり、ゴシゴシ磨いたりしていると、あんなにおっきく見えた竹がなんだか身近に思えてきて、手入れするというのは、モノと仲良くなれるものなんだな〜と。

きっとモノとの垣根って結構かたくて、それを外すためには、力をこめてゴシゴシしたりナデナデしたりして少しずつ剥がしていかなきゃいけないんですよね。
昨年は、竹取りで身体いっぱい力を使うことを覚えましたが、今年も大切なことを学びました。

この神社の管理者は、近くで田んぼを持っていて、スズメのためにわざわざ食べ物を残しているような心優しい方で、今回の竹取りを快く許可してくださいました。サミーさんもひたすら楽しんでくださるご様子で全ての竹を切ってくださいました。ヘトヘトになるような作業なのに…。川合さんも手島先生もいつものさらりとした気配りの中でにこやかに手を止めません。
最後は即席竹ボウキで綺麗さっぱり。

この全てをそのままそっくりコンサートに持っていきたい。
きっと持って行けると信じて、あとはひたすらに励みます。

2018-10-25

土俗の乱声 レコーディング

最近facebookでのご報告が中心になってしまい、ちょっと反省です。
やっぱりブログできちんと今の自分を綴っていければと思っています。

「土俗の乱声」のレコーディング、無事に終わりました。

これのお話があったのは1年前。
ドキュメンタリー映画「土俗の乱声」につけられた伊福部昭作曲の曲を二十五絃箏一面のために私が編曲して演奏し、CDに収録するというものでした。

元のオーケストラの演奏を聴いた時に、その迫力と格好良さに、思わず、「やります!」

しかし、実際、金管、バイオリン、ピアノ、ゴング、ティンパニーが響き渡るオーケストラの40分余りの曲の分厚いスコアを目の前に、途方に暮れてしまいました。

私の悪い癖で、考えていることを理由としてそのまましばらくフリーズ。
「やります!」と威勢よく言ったもののどうやら一歩も進んでいないらしいのを察した周りの方々が、映画の思い出話をしてくださるために集まってくださったり、録音の様子を記録したものを見せてくださったり。
伊福部先生を取り囲んでいた優しさを、私もお裾分けして頂き、少しずつ勇気が出てきました。

なにかのキッカケを探そうと、この曲のキーとなっていると感じた、ゴングの音を実際に弾いてみたいと、ガムランまで習い始めてしまいました。

土俗の乱声で取り上げられているお祭りや歴史も調べに調べ、とにかく編曲するまでの道のりの長いこと。
そんなことを経て、今井聡さん編曲のピアノ譜を参考にさせて頂きながら、どうにかどうにか出来上がりました。

レコーディングでその途中経過をあれこれ報告していたら、「あのォ……ちょーーーっと遠回りし過ぎじゃありませんか?」と優しい呆れ顔。
確かに。1年かけて編曲って、本当に不器用な私らしい気がします。

でもその回り道で、沢山の拾いものをして、ポケットがパンパンになりました。
レコーディング当日も、目からウロコが落ちるようなことが多く、最後の最後まで拾い続けました。

編曲するまでが時間がかかりすぎて、レコーディングでどうだったのかは心配ですが、この曲を11月のリサイタルでも演奏します。

拾ったものを身体の奥の奥にまで入れ、それが湧き出るものになっていますように。